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水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
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音楽は生活の一部、映画もドキュメンタリー中心に結構観ています

佐々木 俊尚

1961年生まれ フリージャーナリスト

ファーザー

「認知症の高齢者には、世界はどう見えているのか?」。今までにもありそうで、しかしこれまで存在しなかった設定で、残酷なまでに認知症の現実を描き出している。「あれ?」「娘はどこにいった?」「ここどこ?」というような認知症の発言はよく見聞きするが、実際にそう発言している患者から見れば、世界はまるで謎に満ちたミステリーのような展開になる。それをそのままミステリーの映画作品として結実させており、監督・脚本をつとめているフローリアン・ゼレールの物語ぶんまわし能力は半端ではない。 ゼレールは本作で映画監督デビューだが、もともとは小説家・劇作家。ウィキペディアには「現在フランス国内で最も魅力的な文学的才能の持ち主のひとり」と記述されており、さすがだねえと納得させられる。いずれにしても恐ろしくもあり、悲しくもある、その両面が成立しているすごい作品だ。83歳をむかえたイギリスの名優アンソニー・ホプキンスが同じ年齢の高齢者を演じ、その超絶技巧な演技力も注目。

21/4/5(月)

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