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現代の名人芸を追い続ける
山本 益博
1948年生まれ 料理評論家、落語評論家、プロデューサー
兼好独演会 けんこう一番! 第10回
19/11/27(水)
国立演芸場
お客を笑わせるのが身上の落語家にも芸風がいろいろある。かつて、月の家円鏡(後の橘家圓蔵)が「志ん朝さんは巧い芸、談志兄さんは達者な芸、だから、私は面白い芸で行く」と言った。三遊亭兼好の芸風を一言でいえば「ご機嫌な芸」だろうか。 持ち前の明るい声が何よりの証左だが、テンポよく笑顔を絶やさずにしゃべるマクラは、少々棘があっても、決して嫌味には聞こえず、愉快に笑い飛ばせる雰囲気を持っている。そこで、名付けて「ご機嫌な芸」。こういうキャッチフレーズにできるキャラクターを持っている落語家は強い。とりわけ、長屋噺にそれが生きている。噺の本題に入っても、快活さは失われず、高座に品格が漂うほど。先日聴いた『あくび指南』はとても良かった。 「けんこう一番」と称した独演会シリーズ、今回の三席は何を高座にかけてくれるのだろうか?
19/10/19(土)