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演劇鑑賞年間300本、記者歴40年のベテラン
大島 幸久
演劇ジャーナリスト
『ザ・ドクター』
21/10/30(土)~21/12/19(日)
PARCO劇場(パルコ劇場)、穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール、まつもと市民芸術館 主ホール、彩の国さいたま芸術劇場 大ホール、兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
この作品は、大竹しのぶという格別な才能を持つ女優の真の実力を再発見する良い機会になるだろう。ローレンス・オリヴィエ賞で作品賞、女優賞にノミネートされたロバート・アイクの作の日本初演だ。 大竹の役はイギリス最高峰の医療機関であるエリザベス研究所の創設者で所長のルース・ウルフ。かつて日本で放送されて大きな話題になったテレビドラマ『白い巨塔』のようにその研究所内で考え方の相違、分裂、対立、分断というパワーゲームが勃発する。ルースに敵対する勢力が激しく迫るからだ。 というのも、物語が極めて深刻だから。14歳の少女が運び込まれる。この子は妊娠中絶を行い、敗血症に。所内では手を尽くしたが死去。その間、両親から頼まれた神父に面会謝絶を告げ、集中治療室へ入るのも拒否した。カトリックの神父が益岡徹、次期所長を狙う教授が橋本さとし、若手医師が那須凜、ルースに理解がある教授が久保酎吉、そして自宅のパートナーが床嶋佳子。ルースは医師として信念を胸にテレビのディベート番組へ出演するのだが。 2019年のロンドンでの初演を見たという大竹の台詞術、表現力が爆発するだろう。演出が栗山民也。兵庫、豊橋、松本、北九州でも上演される。
21/10/18(月)