鹿児島テレビが制作した本作の中で、テレビで会えない芸人＝松元ヒロが披露する数々の笑いのネタひとつひとつに耳を傾けてほしい。そのほとんどは政治や社会問題に言及したものだ。時の権力者、とりわけ政治家に忖度などせずにひと事物申す。おそらく、実際にそのネタを前にしたときほとんどの人が「確かにテレビで披露するのは難しい」と思うに違いない。でも、果たしてそうなのだろうか？ 松元ヒロのライブ会場は連日満席で会場の人々は大爆笑しているのである。舞台は良くて、テレビはなぜダメなのだろう。そのことをわたしたちはもっと突き詰めて考えなくてはいけない気がする。 また、本作には、松元ヒロの鋭い社会風刺を放送できない現状にある鹿児島テレビを含むテレビ局への自己批判が含まれている。ただ、これをテレビ局だけのせいにしていいのか。視聴する側に求められる点はなにもないのか？ そのわたしたちとテレビの関係性についても深く考えさせられるに違いない。

22/1/8(土)