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落語を中心に、講談、浪曲など演芸を長く担当。著書、編著も多数。
長井 好弘
演芸ジャーナリスト、読売新聞編集委員
熱海の夜~入船亭扇遊独演会 第六夜 夏
19/7/10(水)
千代田区立内幸町ホール
普通の寄席で、普通のネタを、普通に演じて面白い。当たり前のように見えて、本当は難しい仕事を、扇遊はさらりとやってのけ、「それがどうしたの?」という顔をしている。扇遊の実力を多くの人に知ってもらうためにも独演会をと願っても、「面倒くさいよ。準備とか宣伝とか、誰かが全部引き受けてくれるならやってもいいかな」と当人は、腰を上げなかった。 そんな扇遊をじれったく思う「誰か」が手を挙げたのだろう。おそらく都内では初めての独演会も六回目を迎える。会の名は扇遊の故郷からとっているが、年配の観客は箱崎晋一郎の往年のヒット曲を思い出す。そんなムード満点の歌謡曲のようなネタを、扇遊が演じてくれるとは思えないが。
19/7/4(木)