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日本で(多分)一番多くの映画を観る(年間800本!=新作、旧作も入れると…)映画評論家
野村 正昭
映画評論家
アンダードッグ 前編
20/11/27(金)
WHITE CINE QUINTO
前・後編合わせて、何と276分=4時間36分という長尺を一挙公開という豪胆さに、観る前は正直言って腰が引けたが、これが一気呵成の快作になっていて驚いた。『ロッキー』や(76)や『レイジング・ブル』(80)の系譜に連なり、ボクシング映画史に燦然と輝く出来栄えだ。『百円の恋』(14)の監督・武正晴、脚本・足立紳のコンビが再びタッグを組み、トップ選手の影で、かませ犬(=アンダードッグ)の道を歩む主人公・晃を、森山未來が演じ、プロ顔負けのトレーニングを経て、迫真のボクシングシーンを見せる。前編の対・宮木(勝地涼)戦、後編の対・大村(北村匠海)は、文字通り手に汗握る白熱のタイトルマッチ。監督作『喜劇 愛妻物語』(20)では、ダメ男をユーモラスに描いた足立脚本は、ここではダメ男の無様かつ痛切な青春を容赦なく描いて、観るものを限りなく挑発する。
20/11/24(火)