昨夏、第17回SKIPシティ国際Dシネマ映画祭でSKIPシティアワードを受賞するなど、コロナ禍の国際映画祭を席巻した話題作。画力で見せていく、サイレント映画のような作品だ。 主人公は写真店でひとり暮らしをしている男（永井秀樹）。黙々と見合い写真を撮って、「もう少し胸を大きく」「頬を細く」といった女性のリクエストを聞き、黙々と修整。ある時、森の奥で転落事故で胸に傷を負った美しい女（大滝樹）と出会う。男は身寄りのない女を店舗兼自宅に住まわせ、SNS用の写真をレタッチ。しかし、SNS上では修整写真よりも、傷ついた姿の方が称賛されて……。 女性恐怖症、カマキリ好きの男と、SNSに飲み込まれる謎めいた美女の恋物語。SNSと写真のレタッチという現代的なモチーフを使いながらも、おとぎ話のような不思議な世界観。登場人物は4人、それにカマキリ！　セリフも多くない。シンプルに削ぎ落としたことが作品に力強さを加えた。 　 監督はこれが長編デビュー作となる39歳の映像作家、串田壮史。イギリスの芸術大学で実験映像を学んだそうで、画作りも作風も独特。次はどんな映画を見せてくれるのか楽しみ。新しいもの好き、映画好きはもちろん、SNS映えが気になる方も！

21/1/26(火)