西部劇というと、映画ジャンルとして、どうしてもアクションや、ひと昔前の物語ということでクラシカルなイメージが強いのではないだろうか？ 『クレイジー・ハート』のスコット・クーパー監督が手がけた本作は、そういうイメージをある種、払拭する。深化した西部劇とでも言おうか。“西部開拓時代の物語である西部劇を現代に通用する映画として描く”という、極めて野心あふれる試みに挑んだ1作になっていると言っていい。 冒頭のコマンチ族の白人家族への虐殺場面から、リアルなシーンの連続。西部劇ではともすると置き去りにされがちな、アメリカ開拓史の負の歴史と史実にこそ鋭く目を向け、ストーリーに盛り込む。 それらを体現してみせるクリスチャン・ベール、ロザムンド・パイクら俳優たちの演技もすばらしい。

19/9/10(火)