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山内宏泰
ライター
戸谷成雄 森―湖:再生と記憶
21/10/16(土)~22/1/16(日)
市原湖畔美術館
山深い地に建つ美術館のエントランスを潜って展示会場に入ったとたん、 「また森が現れた!」 と驚かされた。そこには戸谷成雄による彫刻作品《森》と《双影景》が展開されているのだ。 木材をチェーンソーで彫り進めていく戸谷の作品は、表面の凹凸が荒々しく、どこまでも複雑な様相を見せる。細部に見入っているとスケール感が狂ってきて、深い森に迷い込んでしまった気にさせられる。 常に「彫刻とは何か」を厳しく自己に問いながら、制作してきたのが戸谷である。作品に囲まれていると、観る側のこちらの姿勢も知らずシャンとする。彫刻というモノが、その場の空気を領して変容させているのを、ありありと感じるのだった。
21/11/6(土)