日本の貧乏『万引き家族』と、韓国の貧乏『パラサイト』。なぜかカンヌは2年続けてアジアの貧乏映画にパルムドールを贈ったのだが、面白さで言うと韓国が圧勝。格差社会問題をとことんエンタテインメントにして観客を翻弄しまくるのだ。 とりわけ上手いのが、ヒエラルキーを図で見せたところ。丘の上の豪邸と半地下の家。ここにもうひとつ驚くべきヒネリを加えて格差社会の縮図にしている。社会性と娯楽性が、これほど見事に融合している作品も滅多にない。 監督のポン・ジュノは『スノーピアサー』でも格差社会を扱い、しかもそれは走る列車の横割りのヒエラルキーだった。今度は母国韓国で、分かりやすい縦割りにして大成功を掴んだことになる。もしかしたら『スノーピアサー』のリベンジマッチだったのかしらん。

19/12/28(土)