地中海に浮かぶスペインのイビサ島。このリゾート地は夏の間、ヨーロッパ各地の有名ナイトクラブが出店して世界中からスターDJが集まるという。そんな島の南端で25年間にわたってバレアリック・ミュージックというジャンルをまたいだ選曲による音楽を聞かせてきたイギリス人DJ、ジョン・サ・トリンサに焦点を当てたドキュメンタリーだ。リリー・リナエ監督は台湾出身で日本育ち、アメリカで映像を学んだという。彼女自身がボーダレスな感覚を持っているため、ジョンの選曲に魅了されたのかもしれないが、初監督となる本作はアメリカ的な映像編集の香りがするのが惜しまれる。私生活をふくめジョンの生きざまをもっと引き出せたような気がするとはいえ、ジョンの自由な精神が伝わってきて面白い。

21/7/15(木)