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ドキュメンタリーの面白さを知ると映画の見方が変わる
村山 匡一郎
映画評論家、大学講師
ジャズ・ロフト
21/10/15(金)
ル・シネマ
『MINAMATA〜ミナマタ』の公開で再び脚光を浴びている写真家のユージン・スミス。彼が水俣病の取材のために来日したのは1971年のことだが、その直前まで1957年から暮らしたニューヨーク・マンハッタンのロフトに拠点を置いていた。スミスは4階のフロアをピアニストのホール・オーヴァートンと共有していたが、このロフトには毎日のようにジャズ・ミュージシャンたちが集ってジャムセッションを繰り広げた。そんなロフトの様子を、スミスの写真とともに描いたドキュメンタリーだ。スミスは写真ばかりか録音テープによる記録に熱中し、記録魔としての姿が知れて面白い。多くのミュージシャンの演奏も興味深いが、貴重な映像と音を通して、当時のニューヨークの文化状況の一端が伝わって楽しい。
21/10/12(火)