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洋画、邦画、時々アニメ 映画で人生が変わります

堀 晃和

ライター&エディター。記者歴27年、元産経新聞文化部長。映画と音楽と酒文化が守備範囲。

帰郷

「風だ……風だ、こいつをみたヤツは誰もいない」 映画監督の川島雄三(1918~63年)は、作家の水上勉にこんなことを言ったという。確かに風自体は見えない。身体で感じるか、揺れる木の葉などから推測するしかないだろう。100年を超す映画史の中で、映像を任された撮影監督たちは監督の演出意図を読み取り、何とかこの風を視覚化することに腐心してきた。時代劇で初めて8K撮影された『帰郷』は、そんな風が"見える"作品だ。山間をゆったりと流れていく霧、宿場町の土煙、蝋燭の炎の揺らぎ…。超高精細カメラによる空気の動きをとらえたシーンの数々が、まるで本当の光景がそこにあるかのような印象を与え、観る者をスクリーンの中へといざなう。 舞台は信州・木曽福島。故郷に戻った旅姿の宇之吉(仲代達矢)は、宿場の親分の九蔵(中村敦夫)の手下たちに追われる源太(緒形直人)と出くわす…。仲代ら日本を代表する役者の熱演も見所だ。黒澤的な斬り合いのシーンも見逃せない。 「時代劇専門チャンネル」などが制作した意欲作。2月8日午後9時に同チャンネルで放送されるが、1月17日から期間限定で劇場公開される。大画面で見ることのできる貴重な機会だ。

20/1/16(木)

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