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テレビプロデューサー テレビは見ずに演劇、映画、コンサートばかり足を運んでいる
波多野 健
1954年生まれ プロデューサー(イースト・エンタテインメント)
おらおらでひとりいぐも
20/11/6(金)
TOHOシネマズ 日比谷
スタンリー・キューブリックは「ファンタジーは、主として無意識に関係するテーマを扱うには最適」と語っているが、この映画はある年老いた女性の心の中をかなり突き抜けたファンタジーで描いたもの。だが、そのちょっと突飛すぎるくらいのファンタジーを優れた作品に引き戻しているのは、田中裕子という、日本で多分今一番か二番だと思う女優の存在感である。『いつか読書する日』でもそうだが、彼女の“目”がすべてを語っていて、惹きこまれる。芥川賞を受賞した若竹千佐子さんの小説をもとにしていて、田中さんのセリフはほとんど小説からだという。共演する俳優たちも実にいいキャスティングで、「わかっているな」と感じた。すごく、お薦めです。
20/11/2(月)