Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

クラシック、歌舞伎、乱歩&横溝、そしてアイドルの著書多数

中川 右介

1960年生まれ、作家、編集者

SAYONARA AMERICA

細野晴臣の2019年のアメリカ公演のドキュメント。 2019年というのはコロナ禍の前年。1年遅かったら実現しなかったコンサートツアーである。映画は、2021年の細野晴臣が2年前を振り返る形で進み、コンサートができなくなった「今」の思いが、「コンサートをしなくなったので服を新調しなくなった」などの自虐ギャグも織り交ぜて語られる。 しかし映画の大半はコンサートで、曲はカットされることなく収録されているから、音楽目当ての人も満足するだろう。 日本人歌手、あるいは日本の劇団の海外公演は、その観客の大半が日本から来た熱心なファンというのが多いのだが、細野のコンサートの客はアメリカ人が大半。その客の一言コメントも随所にあり、彼の音楽がどう評価されているのか、一端がうかがえる。 コロナ禍、多くのミュージシャンが活動を制限された。ネット配信に活路を開く人も多い。もしネットがこれだけ発達しない頃に、コロナ禍がきたらどうなっていただろう。そんなことも考えさせられる。 一応は、コロナ禍が終息したような「今」、映像作品としてのコンサートを映画館で観る意味は、見知らぬ人たちと同じ場所・同じ時間を共有するというコンサートの本質を確認することなのかも。

21/11/6(土)

アプリで読む