Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

一瞬がすべてを救う映画、だれも断罪しない映画を信じています

相田 冬二

Bleu et Rose/映画批評家

クライ・マッチョ

クリント・イーストウッド、91歳。 ジャン=リュック・ゴダールと同い年のこの俳優=監督は、前人未踏の挑戦を達成した。 どのような挑戦か。 実年齢より30歳は若いキャラクターを演じるという挑戦である。 だれがどう見たって、無理をしている、などとは思わないだろう。 そもそも、イーストウッドは、実年齢など生きてこなかった。 イーストウッド年齢だけを生きてきた。 世間一般の尺度を当てはめることが、間違いなのだ。 イーストウッドはゆっくり歩いて様になる、男の中の男だ。 だから、老いて、歩行がゆっくりになったわけではない。 ずっと前から、彼は、イーストウッド速度でしか歩いていなかった。 冒頭から、イーストウッドでしかないスピードで、スクリーンに降り立ち、ラストも、イーストウッドでしかない歩行で、画面から立ち去っていく。 その、驚くべき、平然としたたたずまい。 さらに言えば、これまでの、どの出演作よりも、瞳がきらきらしている。 この人を見よ。 それは、91歳のきらきらではない。 イーストウッドの、イーストウッドだけの、きらきらだ。

21/12/24(金)

アプリで読む