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水先案内人のおすすめ

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音楽、映画、アート、ステージなど幅広いジャンルをプロデュースする

立川 直樹

1949年生まれ プロデューサー、ディレクター

ハウス・ジャック・ビルト

ラース・フォン・トリアーは完全に壊れている。1996年に『奇跡の海』でカンヌ国際映画祭グランプリを受賞、2000年の『ダンサー・イン・ザ・ダーク』でもパルムドールを受賞し、輝かしい受賞歴を誇る一方で、2011年の『アンチクライスト』や2014年の『ニンフォマニアック』などあらゆるタブーに切り込み、観る者を挑発してきたデンマークの監督の新作『ハウス・ジャック・ビルト』は、まるでアートを創作するかのように殺人に没頭するハンサムな技師の物語だ。 問題発言をしたことで追放処分を受けてから7年ぶりにカンヌ復帰を果たしたものの、公式上映では観客の想像を超えた過激な仕上がりゆえに途中退出者が続出、一方で上映終了後には盛大なスタンディングオベーションがわき起こり、賛否まっぷたつの異様な興奮に包まれたというのもよくわかる。 強迫性障害の殺人鬼ジャックを演じるのはマット・ディロン。まず最初の犠牲者がユマ・サーマンでその後も個性派俳優が続々と登場してくるが、ルイ・アームストロングの『セント・ジェームス病院』やバスター・ポインデクスターの『旅立てジャック』など既成曲の使い方は抜群だし、グレン・グールドの演奏風景やデヴィッド・ボウイの『フェイム』の映像フッテージのはさみ方はトリアーならではの技だ。R-18指定も納得の狂作!

19/6/10(月)

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