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水先案内人のおすすめ

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邦画も洋画もミーハーに、心理を探る作品が好み

伊藤 さとり

俳優や監督との対談番組を多数、映画パーソナリティ

ワイルド・ローズ

この映画は、私の映画であり、あなたの映画。やりたいこと、夢を持っている女の子たちには間違いなく響く映画であって、彼女たちには是非、観て欲しい映画でありました。いや、もしかしたら結婚に及び腰の男の子にも響くかもしれない! なぜそこまで心揺さぶられたのかというと、主人公のローズ=リン・ハーランに共感し、ローズの母親に共感し、子供たちの気持ちまで理解できるという類稀なる全共感をした結果、涙がとめどなく溢れ、今の自分を再確認までできてしまったからなのです。 過去の出来事をコンコンと説明するセリフも回想シーンも無いから、観る者もある程度の想像力が必要だし、カントリーの知識もあったほうがより楽しめる。だけれどそんなものも度返しして心がブルブル震えてしまうのは、きっと夢を掴もうと必死だった女の子の私と、やりたいことは何なのかハッキリと見えた母親の私が、スクリーンに映し出されていたからなのですよ。 子供を持ったら好きなことができなくなってしまうのでは? 結婚したら自由が利かなくなるのでは? 主人公のローズは、2児の母親でありながらカントリーの聖地ナッシュビルでカントリーシンガーになることを夢見るスコットランド在住のシングルマザー。うわぁ、それって三重苦じゃないか!と思いがちの設定が後半、見事なまでに好転する素晴らしくポジティブな映画だったんです。 映画の脚本家ニコール・テイラーがたまたまスター発掘番組を見ていたときに、出ていた女性シンガーがモデルであり、彼女の現状から、“女性は親になったら子供のために夢を諦めるべきなのか?”という疑問が生まれ、映画が誕生したそうです。 ローズの腕に刻まれた“スリーコーズ・アンド・ザ・トゥルース”=3つのコードと真実、というタトゥーは、カントリー界のソングライター、ハーラン・ハワードが「優れたカントリー音楽とは何か?」という問いに答えた名言。ローズにとっての真実とは何なのか? 何になりたいのか、ではなく“何をしたいのか?” 実はとてもシンプルなこと。あなたがもし夢を持っているならば、きっとこの映画から大事な未来が見えてくるはずですよ。

20/6/22(月)

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