1969年夏、ウッドストック音楽祭が開かれていたのと同じ頃、NYのハーレムで開かれていたハーレム・カルチュラル・フェスティバルの記録。50年間も埋もれていた記録映像が、出演者らへの新たなインタビューなどを加えて語ることになったのはアメリカ社会史だ。マーティン・ルーサー・キング牧師の一周忌にあたって企画されたというだけに、当時の黒人音楽界だけでなく、社会・政治的状況をとらえ、アポロ11号の月面着陸がアメリカ人に与えた衝撃も、白人中心社会の反応と違って冷めているのが興味深い。フェスティバルの警備にあたったのが警官ではなく、彼らの暴力から黒人たちを守るためのブラック・パンサー党の連中、というところにも時代の色がよく出ている。

21/8/13(金)