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水先案内人のおすすめ

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エンタテインメント性の強い外国映画や日本映画名作上映も

植草 信和

1949年生まれ フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

ストレイ・ドッグ

いつも大仰な米メディアの映画フレーズだが、本作におけるVARIETY紙の「こんなニコール・キッドマンは見たことがない」には大賛同。老残むき出しのニコールが本当に凄いのだ。 『誘う女』(95)、『アイズ・ワイド・シャット』(99)のころのニコールは素晴らしく美しい、〈世界一の美女〉だった。それから20年弱。53歳になった彼女が挑んだのは、娘からも同僚からも忌み嫌われている酔いどれ刑事。 17年前に命じられた捜査に失敗したLA市警の女性刑事エリン・ベルのもとに、行方をくらました事件の主犯からの挑戦状が届く。彼女は過去に決着をつけるため、犯人を追う野良犬「ストレイ・ドッグ」と化して戦いを挑んでいく。 そのエリン・ベル役をニコール・キッドマンが演じ、日系アメリカ人の女性監督カリン・クサマがメガホンを執っている。 ニコールのアクション演技も凄いが、一番の見どころは老いたとはいえ充分美しいニコールの老け役・汚れ役ぶりだ。メイクアップを担当したのは『フォックスキャッチャー』(14)のビル・コルソ。ニコールは「メイクの仕上がりはとても恐ろしかったのですが、役に見合った外面と内面を説得力をもって演じる必要がありました。演じた結果、信じられないほど自身から解放されたんです」と語っている(プレス資料)。 黒澤明『野良犬』(49)の英題『STRAY DOG』と同じタイトルを持つ本作。ニコールのファンか否かに関わらず、一見の価値ある異色作だ。

20/10/19(月)

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