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水先案内人のおすすめ

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テレビプロデューサー テレビは見ずに演劇、映画、コンサートばかり足を運んでいる

波多野 健

1954年生まれ プロデューサー(イースト・エンタテインメント)

アルツハイマーと僕~グレン・キャンベル 音楽の奇跡~

矢野顕子さんがある時ライブで『ウィチタ・ラインマン』を歌ったのには驚いたが、グレン・キャンベルは『恋のフェニックス』や『ジェントル・オン・マイ・マインド』などたくさんいい歌を歌ってきたので不思議ではない。この映画は晩年のグレン・キャンベルがアルツハイマーを発症してからアメリカツアーに出るというところから始まる。普通の音楽ドキュメンタリーでも、普通の病気もののドキュメンタリーでもない、「音楽の力」をそこに感じさせてくれるとてもいい映画だった。キャンベルはギターの名手としても知られていて、一時はビーチ・ボーイズで弾いていたこともあるという。「カントリー」というジャンルにカテゴライズされがちだが、それは彼の初期にたまたまカントリー調の曲がヒットしたからで、彼はもっと広い範囲でのミュージシャンである。なによりも素晴らしいのがその歌声で、アルツハイマーに冒されてからも、彼の歌声だけは少しも衰えない。家族の名前さえわからなくなりながらも、曲が始まると今までと少しも変わらない歌を聴衆に届けてくれる。それはとても素敵だった。奥さんや子供たちの支援も温かい。特にバックバンドの中に3人の子どもがはいっているというファミリーバンドで、さぞかし彼は幸せだっただろう。とても、お薦めです。

19/9/17(火)

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