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水先案内人のおすすめ

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邦画も洋画もミーハーに、心理を探る作品が好み

伊藤 さとり

俳優や監督との対談番組を多数、映画パーソナリティ

Girl/ガール

バレエ映画やトランスジェンダーの映画は数あれど、これは圧倒的な沈黙の中の心の荒波を体現した作品であって、カンヌ国際映画祭でカメラドールと最優秀俳優賞受賞は納得。自分の心と体が一致しないヒロインが、バレリーナになりたくて、学校へ通い、レオタードの中にまだ性転換手術をしていない体を隠し、プロを目指すには遅いスタートとなったバレエのレッスンに追いつこうと、人より倍のレッスンを続ける姿がスクリーンに映し出されるのです。 端正な顔立ちのララには小さな弟がいて、まるで母親のように接する彼女の姿に“母性とは何なのか?”と観客に問いを投げかけてきます。父親の全面的な協力があっても人の好奇心という刃はどこにでも存在し、彼女が夢を叶えるには数え切れないほどの試練があり、乗り越える方法探しのように、心理カウンセラーや、性転換手術の先生、学校のバレエ教師、ほのかな恋愛と、さまざまな“心の支え”が登場するのも発展的。 ここまでケアをして上手くいかないわけがない。そう思ってしまいがちだけれど、人の心は複雑であり繊細で、なりたい自分を強く思い描いているからこそ、彼女は心と足から血を流しながらトウシューズで立ち続けるのです。この結末に向かわない方法はなんなのか? それこそ監督が伝えたいことなんじゃないでしょうか。

19/7/1(月)

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