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杉本 穂高
映画ライター
ブリング・ミー・ホーム 尋ね人
20/9/18(金)
新宿武蔵野館
イ・ヨンエが、あの『親切なクムジャさん』の神がかった名演以来、14年ぶりにスクリーンに帰ってきた。子供を殺された復讐者を妖艶かつ、コケティッシュに演じた前作とは打って変わり、今度のイ・ヨンエはボロボロで泥だらけだ。しかし、内に秘めた強さは同じ。失踪した子供を6年間探し続ける母親を悲壮感と深い愛情を持って演じている。 舞台となるのは閉鎖的な漁村だ。子供の目撃情報を受けて主人公がその村に向かうも、よそ者を排斥する習慣でうまくいかない。そして、警官も関与している子供の虐待と不法な労働の実態という闇が浮かび上がる。陰惨な現実に一筋の光が差すエンディングに、作り手たちのそうあってほしいという願いが込められている。
20/9/18(金)