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巨匠から新鋭まで、アジア映画のうねり

紀平 重成

1948年生まれ コラムニスト(元毎日新聞記者)

詩人の恋

『息もできない』で暴力的な借金取り立てを生業とする孤独な男を演じたヤン・イクチュンが本作品では強面のイメージをかなぐり捨て、同性との愛に目覚める詩人に扮しています。同一人物とは思えぬ「変身ぶり」に驚かされますが、2009年秋に東京フィルメックスのコンペ参加で来日した際の筆者インタビューでは「いつか俳優の本を書いたり俳優に関するドキュメンタリーを撮りたい」と話し、演技への並々ならぬ関心の強さを教えてくれました。 菅田将暉と共演した『あゝ、荒野』の役作りのため鍛え上げたボクサー体形から約8キロ増のぽっこりふくらんだお腹と、ドーナツを無心にほおばる姿はぬいぐるみのクマのように愛らしく、それだけでも見事なイメチェンぶり。さらに妻への責任や同性愛について答えを出そうともがく姿には平凡な人生を歩んできた中年男の悲哀が浮かび上がります。不調だった詩の創作活動を軌道に乗せるきっかけとなった美青年(チョン・ガラム)や大きな愛で詩人を抱え込んだ妻(チョン・ヘジン)との演技合戦も見どころです。 『東京タクシー』の助監督を務めたキム・ヤンヒの初長編監督作品。

20/11/11(水)

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