Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

一度逃したら再び観る機会がないかもしれない、ちいさな芝居を中心に

釣木 文恵

演劇ライター

カオルノグチ現代演技第二技『セイムタイム・ネクストイヤー』

「怪優」なんていう言い方をするとどうしても安易に聞こえてしまうけれど、とにかくステージに立っていると、ついその人に目を奪われてしまう、という存在がいる。野口かおるという役者がその一人であることは間違いのない事実だ。彼女が自らのパッションに導かれるままに公演を行うシリーズ「カオルノグチ現代演技」の第二弾となるのが二人芝居『セイムタイム・ネクストイヤー』。 『奥様は魔女』などでも知られるバーナード・スレイド脚本の今作は、これまで高畑淳子と加藤健一、小川真由美と橋爪功などあまたの役者たちが演じてきた戯曲。ともに家庭をもつ男女がふとした海辺のコテージで出会い、年に一度、同じとき、同じ場所で会うことを約束する。それから逢瀬を重ねる二人の25年間を描いた物語だ。 相手役にはこちらも「怪優」と呼ばれることの多い山岸門人、演出には明星真由美を迎える。2018年に上演されたミュージカル『アメリ』で共演し意気投合したのだという。こんなふうに「意気投合」からはじまる作品の場合、依頼を受けたものと比べると携わるメンバーの動機の強さが違う。どうしたって期待してしまう。 野口かおるという人にはつい過激さやはみ出し具合を期待してしまいがちだけれど、今回はこの不朽の名作を演じるなかで彼女の追い求める「現代演技」が観られたら、と思う。女優の仕事を一旦全て投げうち、メジャーデビュー前の氣志團のマネージャーとして彼らをブレイクさせたのち、再び演劇の世界に舞い戻り、その後も淡々と活躍を続ける明星真由美の演出も楽しみだ。

20/2/5(水)

アプリで読む