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ノージャンル、ノーボーダー。個人的アンテナに引っかかるもの
佐藤 久理子
パリ在住、文化ジャーナリスト
mid90s ミッドナインティーズ
20/9/4(金)
新宿ピカデリー
最近では『ドント・ウォーリー』でホアキン・フェニックス扮する主人公を導く導師役が印象的だった演技派、ジョナ・ヒル。だが監督としてもこんなに才能を発揮するとは、正直驚きだ。 スケーターだった少年時代を彼自身で脚本化し、監督デビューした『mid90s ミッドナインティーズ』は、何気なく観たのにずっと心に残り続ける、そんなタイプの作品だ。 体が小さく、友達のいない13歳の少年が、スケボーショップにたむろう不良たちと知り合い、ようやく仲間を見つける。それぞれに困難な事情を抱える彼らにとって、スケートボードの上だけが、本当の自由を享受できる場所だった。 90年代ロサンゼルスのグランジっぽい雰囲気が溢れ、ガス・ヴァン・サントのメランコリーと、スケボー映画『ロード・オブ・ドッグタウン』の爽快感を足して割ったような世界と言えるだろうか。彼らが風を感じながらストリートを滑るシーンに、胸が高鳴る。
20/9/4(金)