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水先案内人のおすすめ

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生きのいい日本映画を中心に、大人向け外国映画も

平辻 哲也

1968年生まれ 映画ジャーナリスト

82年生まれ、キム・ジヨン

題名でも分かる通り、韓国発の女性映画だが、男性こそ見るべき。130万部以上のベストセラー小説を、『トガニ 幼き瞳の告発』『新感染 ファイナル・エクスプレス』のチョン・ユミとコン・ユが初の夫婦役で映画化。 結婚・出産を機に仕事を辞め、子育てに多忙な日々を送るジヨン。優しい夫が支えるが、どこかに違和感を抱えている。正月、夫の実家に帰省した際、ジヨンは自身の母親が憑依したように「正月くらいはジヨンを私の元に帰してください」と口走り、夫の家族をあぜんとさせる。 ジヨンは鬱積した不満や自分の本音を他人の言葉を借りて語っているようだが、自分では奇行に気づいていない。そんな中、彼女は子供を預けて、再び仕事をしようと奔走するだが……。 映画は、世の中に、はびこっている自覚なき性差別、男性優位の社会の実態を提示し、さりげなく疑問を呈する。“夫君”は世の女性が誰もがうらやむ存在なのだが、周囲の“男ども”はそうではない。同じ男として、耳が痛い。 メガホンを取ったのは長編デビュー作となる女性監督キム・ドヨン。94年を舞台に、10代の女の子の生きづらさ、たくましさを描いた女性監督キム・ボラのデビュー作『はちどり』と合わせて観るべし。世の中に生きづらさを感じている誰もが共感できるはずだ。

20/10/8(木)

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