時代の流れに取り残されたように、ブラジルの片田舎にたたずむバクラウという村。その小さなコミュニティーに得体の知れない外敵が忍び寄り、未確認飛行物体や謎のバイカーの出現など不可解な出来事が続発していく。この何が何だか分からない序盤のシークエンスからしてシュールな驚きに満ちたこの映画、がらっとストーリーが別視点に切り替わる中盤以降、さらなるサプライズの嵐が吹き荒れる。 西部劇、バイオレンスアクション、ホラーなどのジャンルを自在に横断する映像世界は、腐敗した政治家や傲慢な白人の侵略者への痛烈な風刺も盛り込まれ、大胆にして奇妙なカメラワークや編集にも目を見張らずにいられない。あの『パラサイト 半地下の家族』が最高賞に輝いた昨年のカンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した異形の衝撃作。生首がゴロンと転がる血みどろのクライマックスには、もはや開いた口がふさがらない！

20/11/28(土)