現在において、ラブストーリー、あるいはメロドラマを過不足なく成立させるためのクリシェとして〈難病もの〉というジャンルが存在するが、『エマの瞳』は、そこから微妙にずれた位置にある。広告代理店に勤めるプレイボーイ、テオ(アドリアーノ・ジャンニーニ)と目の見えない施術師エマ(ヴァレリア・ゴリノ)が出会い、惹かれあう。しかし、障害があれば燃えるという陳腐な図式はここですでに行き暮れるほかない。 映画は、テオの優柔不断さを断罪せずに、彼が抱える欠落感や、そして...

19/3/20(水)