主人公のララは、15歳のトランスジェンダー。どこからみても女性だが、定期的に通院して男性としての二次性徴を抑える療法を受けながら、より女性らしい体になるためのホルモン療法を受けようとしている。この映画では、思春期と性の転換が重なったララの心と体の変化が描かれている。 LGBTをテーマにした映画は今やトレンドのようになって珍しくはない。 ただ、これほどトランスジェンダーの少女の心と体を鮮明に描き切った作品はかつてあっただろうか？ 心は女性でも体は男性であるがゆえの、女子シャワールームやトイレの居心地の悪さ、好きな男の子と女性としてまだ接触できないもどかしさなど、ベルギーの新鋭、ルーカス・ドン監督は、ララの言葉にならない心の叫びを、演じたビクトール・ポルスターの肉体を通して、精緻に表出させていく。この手腕は見事というよりほかない。

19/7/1(月)