評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!
邦画も洋画もミーハーに、心理を探る作品が好み
伊藤 さとり
俳優や監督との対談番組を多数、映画パーソナリティ
Mr.ノーバディ
21/6/11(金)
TOHOシネマズ 日比谷
さえない親父が娘の大切なブレスレット奪還のために封印していた特殊能力で暴れまくる!? このギャップ、間違いなく面白い映画であることを証明するプロットであり、想像通り肩を揺らしながら興奮。 『ジョン・ウィック』は仔犬を殺され復讐に燃え、『96時間』は娘誘拐で本能が目覚める。映画のオジ様たちは、自分にとっての地雷さえ踏まれてしまったら、現役時代の身体能力で暴れることができるというお決まりの復讐ものであり、シリーズ化希望の痛快作。なんと言っても1時間半くらいのサクッと楽しめる展開で、余計な説明が無く、想像で穴埋めできる伏線が絶妙な脚本がお見事。 しかもジャッキー・チェンばりの身の回りのものを武器に変え展開する肉弾戦は爽快だし、クラシック・カーに乗り、パット・ベネターの『ハートブレイカー』という1979年のヒット曲が流れるのもレトロでかっこいい! 熟年夫婦あるあるの冷え切ったベッドでの関係にも焦点を当てながら、何歳になっても愛され続けるカッコイイ男の条件をチラチラと散りばめているので、ラストにはすっかりこのオジ様のファンになってしまうはず。
21/5/24(月)