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日本の舞台のほか韓国演劇、フィギュアスケートにも関心あり
上野 紀子
演劇ライター
ラッパ屋『2.8次元』
19/6/9(日)~19/6/16(日)
紀伊國屋ホール
オジサマ観客層が嬉々として劇場に集う、そんな演劇界としては希少な光景が見られる劇団、それがラッパ屋です。かつては“サラリーマン新劇喇叭屋”と名乗っていたように、主宰の劇作家・演出家の鈴木聡さんが描き出す人間模様は、全国の働く小市民の心を潤す人情喜劇。はてしなく間が抜けてるけど身に覚えがあり過ぎて愛おしい……、そんな人たちがてんこ盛りで出て来ます。劇団結成から三十五年、劇団員も円熟の極みです。そのラッパ屋の新作が、“2.5次元ミュージカルに挑む老舗劇団のお話”とは、何やら自虐の香りが漂いますね。それでも果敢に歌って踊るらしい! 昨年の舞台『5DAYS 辺境のロミオとジュリエット』でのパワフルな歌声が印象に残る豊原江理佳さんが客演ですから、これは本気です。いろんな意味で笑って泣ける、こんな面白そうな舞台はオジサマだけじゃなく、オバサマだって若者だって見なきゃ損! 25歳以下の方が対象となるU-25券3,000円もあるし! 羨ましいぞ若者! 誇り高き昭和の笑いで魅了する人気劇団の、令和一発目の挑戦をお見逃しなく。
19/6/5(水)