“1950年代ソビエトの秘密研究所”という世界を丸々創り上げ、そのなかで膨大な数の役者やエキストラたちを長期間生活させて、彼らの様子を時間をかけてカメラに収めて行ったーーという、映画史に類をみない試みで作られた映画。 今風に言っちゃえばリアリティショーのようなノリなのだが、設定が50年代ソ連なので社会も人間の感性も歪んでいるせいか、ノーマルな感情と狂気が共存していて、まったく先が読めない展開になっている。 予備知識ゼロで観たら、これを映画として面白いと思えるかは疑問だが、言葉にするのが難しい気持ち悪さが伝わることだけは間違いない。筆者にも「ヘンな映画観ちゃった」という妙な感情がつきまとっているくらいだから。

21/2/26(金)