ひとりの少年の情熱が周囲の大人たちの善意を呼び覚まし、やがて夢を実現していく。 日本ではもはやファンタジーですら成り立ちにくくなったそんな物語が、このアフリカの見知らぬ地・マラウイでは実話として存在していた。 主人公は機械いじりが得意な中学生・ウィリアム。実家は農家を営んでいるが、大雨や日照りで土地は痩せ細るばかり。姉も自分も、学費を払えってもらえない。 諦めないウィリアムは学校の図書館に通い動力について独学、自力で電力を起こして水を川に引き込もうとする。 本作が素晴らしいのは、ただの綺麗事の美談になっておらず、社会の厳しさや理不尽さも描写されていることだ。だからこそ、ウィリアムの奮闘がより輝く。

19/7/30(火)