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文学、美術、音楽など、映画とさまざまな構成要素に注目

高崎 俊夫

1954年生まれ フリー編集者、映画評論家

火口のふたり

全共闘世代の心情を主人公に仮託する作劇が目立ったベテランの脚本家・荒井晴彦だが、この三作目となる監督作『火口のふたり』は、驚くほどみずみずしい青春映画の肌触りが感じられる。それは主人公を演じた柄本佑と瀧内公美の圧倒的に若々しい肉体ゆえでもあるだろう。むろん、荒井晴彦の出自たる日活ロマンポルノを思わせるような激しいセックスシーンが全篇にわたって延々と続くのだが、陰湿さや粘着質なイメージが微塵もないのは特筆されよう。 結婚を間近に控え、昔の恋人・賢治と再会したヒロイン直子は、周到な企みのように、賢治をベッドへと誘う。たった5日間という限定された時間のなかで狂おしいまでの性愛に溺れる日々が過ぎてゆく。秋田という風土、景観を生かした色彩設計が独特の澄明さ、色合いを画面に滲ませる。映画はラストに至って、意想外な終末論的ビジョンを提示することになるが、〝身体の言い分〟をすべて肯定するという快楽原則を貫徹するふたりには、どこか時空を超えた〈道行〉というか、すがすがしいまでの淫らさへの深い没入が感じ取れる。柄本佑の絶妙な好演はいうまでもないが、とりわけ甘えるようなエロキューションが際立って印象的な瀧内公美がすばらしい存在感で魅了する。

19/8/19(月)

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