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ドキュメンタリーの面白さを知ると映画の見方が変わる
村山 匡一郎
映画評論家、大学講師
パンケーキを毒見する
21/7/30(金)
新宿ピカデリー
内閣総理大臣の菅義偉に焦点を当てたドキュメンタリーである。若い世代には平成から令和への新元号を発表した「令和おじさん」として知られるが、菅義偉とは政治家としてどんな人物なのか。そんな菅首相のこれまでの経歴を振り返りながら、与野党の政治家、作家、評論家、元新聞記者など多くの人々の証言、あるいは“赤旗”編集部のスクープ活動などから彼の人物像に迫っていく。たとえば“値下げの政治家”“ケンカ師”などといった多角的な見方が当然あるとはいえ、本作から見えてくるのは実体のないもやもやしたイメージであることもたしかだ。それはまるで中心が空虚な空間にも似ており、日本の政治の実相をまさに象徴しているかのようである。そんな政治のあり方を知る上で興味深い世界である。
21/7/18(日)