現在、アフガニスタンの首都カブールをタリバンが掌握し、緊迫した状況がマスコミで連日報じられている。そんなアフガニスタンの映画監督が家族とともにヨーロッパに亡命するまでの自らの難民生活を追ったドキュメンタリーだ。2015年に制作した作品がタリバンに非難され、主演の男優が殺されたことから、監督は妻と幼い娘ふたりとともに亡命を決意、イラン、トルコ、ブルガリア、セルビア、ハンガリーとほかの難民たちとともに苦しい旅を続ける。その2年近くに及ぶ監督一家の逃避行を、3台のスマートフォンによって自分たちで撮影した文字どおりのセルフドキュメンタリーである。世界で増え続ける難民の姿は報道されるとはいえ、その内実を難民自身の視点からとらえた映像は貴重な記録といえる。

21/9/1(水)