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水先案内人のおすすめ

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テレビプロデューサー テレビは見ずに演劇、映画、コンサートばかり足を運んでいる

波多野 健

1954年生まれ プロデューサー(イースト・エンタテインメント)

ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男

アメリカで実際に起きた水質汚染の実話に基づいた映画。デュポンの“テフロン”といえばフライパンなどの“テフロン加工”で耳なじみがあるが、その“テフロン”が実は有害で、工場周辺に多大な水質汚染での被害を引き起こしていたという。かなり前の事件だと思ったら、つい数年前まで裁判を続けていたということにも驚く。公開中の『MINAMATA―ミナマター』にいたってはまだ抗争中というし、まったくひとごとではない。企業弁護士で、いつもはデュポンなどの大企業を守る側の弁護士が、祖母の知り合いという農夫の訴えで事件を調べはじめる……。進行は淡々としていて、デュポンに支えられている地元の人びとが反撥する展開(これには日本の原発の実態も少し思い出した)も切れが悪いが、逆に実話だけに重みがある。主人公の弁護士の妻役のアン・ハサウェイ、上司役のティム・ロビンス(あまりに老けていて驚いた)も安定した演技を見せていたが、主演のマーク・ラファロがとてもいい。実際に時間に巻きこまれた人びとも“本人役”で出演しているということに、まさにリアルタイムで起きていることだということを実感させられた。なかなか、お薦めです。

21/10/26(火)

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