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水先案内人のおすすめ

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この映画を観ると世界がわかるという作品を

池上 彰

1950年生まれ ジャーナリスト、名城大学教授

モスル~あるSWAT部隊の戦い~

この題名はイラク北部の大都市の名前。2003年に米軍がイラクを攻撃した際に大きな被害を出した都市です。映画は、ここでIS(イスラム国)と戦うイラクのSWAT(特殊部隊)の物語。実話を元にしています。 イラクのフセイン政権は米軍の攻撃で崩壊しますが、2014年にはISIS(イラクとシリアのイスラム国)によって占領されてしまいます。映画ではISISと表記されますが、日本ではIS(イスラム国)と表現するのが一般的です。元警察官たちで組織されたSWATチームは、ISのことをアラビア語で「ダーイッシュ」と呼んでいます。 新人警察官だったカーワは、犯罪容疑者を逮捕したところでISに襲撃されますが、SWAT部隊に救出され、そのまま隊員になります。ところが、このSWAT部隊、秘密の目的を持っているらしく、隠密行動を続けます。その目的とは何か。 長引く戦火で破壊されたモスルの街が忠実に再現され、激しい戦闘シーンが続きます。途中で「タバコと銃弾の交換」をする相手の戦闘部隊はPMU(人民動員隊)と呼ばれますが、隣国イランから送り込まれた革命防衛隊の別称です。ISはイスラム教スンニ派の過激組織で、シーア派を目の敵にしています。そこでシーア派国家のイランが、イラク国内のシーア派住民を守るために送り込んだのです。ISという共通の敵がありながら、敵対関係でもあるイラク人とイラン人との微妙な関係がうまく描かれています。 しかし、イランの軍事組織を疎ましく思うSWATの隊長は、「イラクはフセインも米国もイランも要らない」と叫びます。まさにイラクの人々の声でしょう。

21/11/19(金)

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