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歯に衣着せない辛口コメントが人気のクラシック業界ご意見番

東条 碩夫

音楽評論家

新国立劇場オペラ『ニュルンベルクのマイスタージンガー』

新国立劇場芸術監督と東京都交響楽団音楽監督を兼任する大野和士が全力を注ぐ超大企画。東京文化会館との共同制作だが、これまで予定されていた公演は新型コロナ蔓延のためすべて中止されていた。今度こそは渾身の上演が実現するだろう。 後期ロマン派の大作曲家ワーグナーの楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』は、壮大精緻な作曲手法の粋を集めた明るい雰囲気の傑作だ。物語は中世ドイツに栄えた歌芸術をテーマにしたもので、「マイスタージンガー」とは、靴屋・仕立屋・パン屋など、手に職を持ち、かつ歌芸術の奥義を極めた「親方」をさす。この「偉大な芸術」のマンネリに挑む若い親方志望の騎士ワルター、それを支援するリーダー的な親方ハンス・ザックス、嫉妬に燃えてワルターを妨害する堅物の書記ベックメッサーらが織りなす舞台が楽しい。 今回は、物語の舞台を現代の歌劇場に設定したヘルツォークの読み替え演出が、新鮮な面白さを呼ぶだろう。大野和士が東京都交響楽団を指揮、歌手陣にはトーマス・ヨハネス・マイヤー(ザックス)、アドリアン・エレート(ベックメッサー)ら練達の名手たちが参加する予定。

21/11/11(木)

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