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杉本 穂高
映画ライター
アルキメデスの大戦
19/7/26(金)
TOHOシネマズ 日比谷
『永遠の0』とは真逆の作品だ。情緒に支配されず、大和建造の愚かさ、非合理さを説いた上で、なおかつ美しく整った戦艦に惹かれてしまう数学者の業を描いている。東京五輪に向けて、新国立競技場建設の費用が異様に膨れ上がる報道を見て、この原作を映画にしようと山崎監督は考えたそうだが、まさに戦時の愚かさをいまだに日本人は引きずっていることを見事に突きつける作品だ。 そして、大和に惹かれる主人公の心情は、日本人の心に残り続ける大和への愛情に通じる。愚かだったとわかっているのに、愛してしまう。そんな日本人の不思議な心のあり方を見事にえぐり出した作品だ。エンディングに感傷的なテーマソングが流れないのも素晴らしい。
19/7/22(月)