Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

一瞬がすべてを救う映画、だれも断罪しない映画を信じています

相田 冬二

ライター、ノベライザー

BLUE/ブルー

これは、松山ケンイチの最高傑作ではあるまいか。 数々の名演、名作をものにしてきた彼だが、ついに究極の純度に達したと思われる。 自分自身はまったく勝てないが、他人の面倒見はとことんよいボクサーを演じている。 現役選手なのに、ジムの古株コーチのように、初心者を優しく従順に導く彼の、触れてはいけない部分を、折り紙を折るように繊細にかたちづくり、おそるべき余韻で、観る者を満たす。 人間とは、ここまで強いものなのか。 人間とは、ここまで脆いものなのか。 両極の問いが、同一の問いになるような、人物表現が、ここにはある。 かつて『聖の青春』でもタッグを組んだ東出昌大が、勝って勝って勝ちまくるボクサーに扮し、松山ケンイチの陰影をさらに味わい深いものにしている。 ボクシング映画は古今東西、さまざまなタイプが製作されてきたが、松山ケンイチはその稀有なアプローチで、誰にも似ていない唯一無二のボクサーを出現させた。 『レイジング・ブル』のロバート・デ・ニーロに匹敵する、とまずは断言しておこう。 必見。

21/4/7(水)

アプリで読む