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水先案内人のおすすめ

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エンタテインメント性の強い外国映画や日本映画名作上映も

植草 信和

1949年生まれ フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

石井輝男 キング・オブ・カルトの猛襲

『殺し屋人別帳』(12/18〜12/24) ラピュタ阿佐ヶ谷「石井輝男 キング・オブ・カルトの猛襲」(11/24〜1/25)で上映 高校時代、松本清張の『無宿人別帳』を読んで、初めて“人別帳”なるものの存在を知った。その恐ろしい響きに引きずられて、佐田啓二主演で映画化された同名映画も、観た。 人別帳とは戸籍原簿で、そこから洩れると罪人のごとき身分になることを意味するらしい。『木枯し紋次郎』にも“無宿渡世、人別の外”というセリフがあったが、どうも現在の「住所不定」「ホームレス」とはニュアンスが違うようだ。 そのように刷り込まれた“人別帳”の呪わしいイメージを決定的にしたのが、本作『殺し屋人別帳』だ。 冷酷凶暴な奴、紳士づらした奴、女だけには弱い奴――殺し屋人別帳に名を連ねた名人たちがそれぞれに腕前を競い合うという、いかにもタランティーノ好みのアクション映画。 渡瀬恒彦のデビュー作で、シリーズ化もされている(『監獄人別帳』『悪党人別帳』)。お話は『網走番外地 望郷篇』を下敷きにしており、渡瀬は健さんが扮した橘真一と同じ役名で登場する。 共演は石井輝男一家の大黒柱・吉田輝雄、岡本喜八組の代貸・佐藤允、高視聴率番組『やすらぎの刻』レギュラーの伊吹吾郎、渡瀬の“演技の師”荒木一郎など。石井監督の遊び心が楽しめる一篇だ。 実際、何の罪も犯していないのに、無宿人というだけで、生きては戻れない佐渡送りにされたり、脱走すれば即獄門となる人足寄場に強制収容されたり、無宿人の立場は呻吟過酷であった。

19/12/15(日)

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