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日本で(多分)一番多くの映画を観る(年間800本!=新作、旧作も入れると…)映画評論家

野村 正昭

映画評論家

セノーテ

ボスニア・ヘルツェゴビナの炭鉱で働く坑夫たちに密着取材した『鉱 ARAGANE』(2015)の小田香監督の新作は、メキシコ、ユカタン半島北部に点在する、セノーテと呼ばれる洞窟内の泉を描いている。小田監督はかの『サタンタンゴ』(1994)のタル・ベーラ監督の愛弟子だけあって、師匠同様、賛否半ばする映画製作の宿命を継承し、この作品も観客が映画を選ぶのではなく、映画が観客を選ぶのだという姿勢を断固として崩さない。 何しろ泉の水中撮影と、マヤにルーツを持つ人々の顔とが交互に描かれるだけなのだから、エンタテインメント指向の方々にではなく、大雑把にいえば、ジョナス・メカスや、スタン・ブラケージの映画を愛する人々にとっては必見の作品といえるだろう。第1回大島渚賞を受賞したそうだが、賞の性格を左右する1回目に本作を選ぶとは、これまた確信犯なのか。

20/9/17(木)

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