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堀 晃和

ライター&エディター。記者歴27年、元産経新聞文化部長。映画と音楽と酒文化が守備範囲。

セノーテ

大島渚監督の葬儀は2013年1月22日、東京・築地本願寺で営まれた。参列者に渡された二つ折りの会葬礼状には、大島監督が好んだ詩が記されていた。 「深海に生きる魚族のように自らが燃えなければ何処にも光はない」 新しい才能を発掘し、世界へ飛躍させるために創設された大島渚賞の第1回受賞者、小田香監督のドキュメンタリー作品『セノーテ』を観ていて、真っ先に頭に浮かんだのがこの詩だった。深海を思わせるような水中の映像が、葬儀に参列した時の記憶を呼び起こしたのだろう。観ている間、大島監督の精神に触れている気がした。 セノーテとはメキシコ・ユカタン半島北部に点在する洞窟内の泉のこと。この地にはかつてマヤ文明が栄えた。セノーテは古代マヤ人にとって貴重な水源であり、儀式の場でもあった。水底に住むと信じられた雨神に向けて、人が生贄として捧げられたのだという。 暗い水中をとらえた映像は光が差し込むとキラキラと輝き、とてもきれいだ。だが、同時に残酷なイメージも迫ってくる。水中はiPhoneで撮影され、現地の日常をとらえたシーンは8ミリフィルムが使われたという。フィルムの温かな質感で表現された人々の眼差しが強く、優しい。

20/9/16(水)

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