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佐々木 俊尚
1961年生まれ フリージャーナリスト
ペイン・アンド・グローリー
20/6/19(金)
TOHOシネマズ シャンテ
ペドロ・アルモドバル監督とアントニオ・バンデラス、ペネロペ・クルスという痺れるような王道の組み合わせのスペイン映画。主人公はアルモドバル監督自身が投影されたと思わされる映画監督で、全身の痛みに苦しみ、そして心の中は過去から常に追い詰められている。子供のころの遠い過去、栄光と暗闇にまみれた過去、そして現在という三つの時間が重層的に重ねられて、その積み重ねから主人公の"生"の全体像が浮かび上がる仕掛けになっている。決して単純な物語ではないだけに、だからこそ人間というものには幸せや苦しみや美しさや醜さが同居しているのだというメッセージが圧倒的に伝わってきて、この映画に惚れた。
20/6/17(水)