作品の持つ温かさ、登場人物の心根の良さに癒される。自閉症の主人公チュウさん（塚地武雅）と、その母（加賀まり子）の日常を追いながら、周囲の人たちとの交流を描く物語だ。 超久しぶりの主演作となる加賀、普段はアクの強い役が似合うが、本作では心の広い母をゆとりある芝居で魅せる一方で、自閉症に対する「周囲の無理解」にはズバッと切込み快い。また、塚地のこうした役は『裸の大将』山下清役で立証済みだが、今回やりすぎず、しかし周りとのトラブルを起こしそうなギリギリのなりきりぶりで、『レインマン』のダスティン・ホフマンをほうふつとさせるリアルな存在感。ちゅうさんに皆が温かな気持ちになれるのだ。

21/11/5(金)