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水先案内人のおすすめ

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洋画、邦画、時々アニメ 映画で人生が変わります

堀 晃和

ライター&エディター。記者歴27年、元産経新聞文化部長。映画と音楽と酒文化が守備範囲。

影裏

観ている途中で、エリック・ロメール監督の仏映画『クレールの膝』(1970年)を不意に思い出した。平面のスクリーンの中に、俳優の身体がまるでそこに実在しているかのような濃密さで立体的に描写されている点が似ていると感じたからだ。抑制の効いたセリフと仕草や表情で、物語を浮かび上がらせる主演の綾野剛がすばらしい。 原作は、2017年に芥川賞に輝いた同名小説。今野秋一(綾野)は転勤先の岩手県盛岡市で、同僚の日浅典博(松田龍平)と出会う。同い年の2人は意気投合し、自宅で日本酒を飲み、川釣りに出かけたりして親交を深めていく。しかし、そんな青春のような日々は長くは続かなかった。日浅はある日、姿を見せなくなり……。 物語は、今野と日浅の淡々とした交流を軸に進む。俳優の過剰な動作を排し、説明を極力省いた会話のやり取りによって緊張感を高めていく演出が見事だ。鮮烈な緑色で表現した東北の自然と人間関係を象徴する暗い不穏な色調が交錯する映像も美しい。 私事で恐縮だが、東日本大震災後、約2年半にわたって現地で報道に携わった。本作でも震災が重要な挿話として描かれる。観終わったあと、津波が飲みこんだものについて改めて考えた。

20/2/12(水)

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