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エンタテインメント性の強い外国映画や日本映画名作上映も

植草 信和

1949年生まれ フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

なぜ君は総理大臣になれないのか

コロナ禍で、つくづくとこの国のリーダーの言葉の空疎さ、無責任さを痛感した人は多かったのではないだろうか。 大島新監督の新作『なぜ君は総理大臣になれないのか』は、2019年の国会で不正会計疑惑を質す姿が注目を集めた政治家の小川淳也を17年にわたり追いかけたドキュメンタリー映画。 本作を観ている間中、フランク・キャプラ監督、ジェームズ・スチュアート主演の『スミス都へ行く』という映画を思い出していた。1939年に作られた古いアメリカ映画の名作だ。 リンカーン大統領を敬愛する青年スミスは上院議員になるが、「田舎者」「世間知らず」と罵られながらひたすらリンカーンの政治哲学を忘れることなく、議会へと歩を進める、というお話だ。本気で「理想の政治」映画を作ったキャプラ監督に大島新を、リンカーンを目標に政治活動を進めるスミスに小川の姿をダブらせて観ていたのだ。 小川は訴える。「自分たちが選んだ政治家をバカだとか、笑ってるうちは、絶対にこの国は変わらない」「国民のためという思いなら誰にも負けない自信がある」「何事も51対49。でも出てきた結論はゼロか100に見える。政治っていうのは勝った51がどれだけ残りの49を背負うかなんです。でも勝った51が勝った51のために政治をしてるんですよ、いま」。その通りだと思う。 2003年の初出馬から取材し、高潔な政治思想があっても党利党益に貢献しないために出世できないジレンマや、背水の陣となった選挙戦などをカメラが捉える。 未曽有の艱難に直面している我が国の政治を考えるのに、最適のテキストになるのが本作だ。 大島新監督(小川と同世代の1969年生まれ。フジテレビのディレクターを経てMBS『情熱大陸』やNHK『課外授業ようこそ先輩』など数多くの番組を手掛ける。映画監督作は『シアトリカル 唐十郎と劇団唐組の記録』『園子温という生きもの』。大島渚監督の次男)は、以下のように語る。 「初めは興味本位だったが、およそ1カ月間取材をするうちに、〈社会を良くしたい〉と真っすぐに語る小川の無私な姿勢と、理想の政策を伝える説明能力の高さに触れ、私は〈こういう人に政治を任せたい〉と思うようになった。」 これぞいま観るべき映画だ。

20/6/13(土)

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