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Tak

美術ブロガー

渡辺省亭 -欧米を魅了した花鳥画-

ようやく渡辺省亭(わたなべせいてい)の本格的な回顧展が藝大美術館で開催されるに至りました。と言っても、一部の美術ファンを除きまだまだほとんど名前の知られていない絵師です。読み方さえもおぼつかないかもしれません。しかし今回の「渡辺省亭展」は今後10年先20年先の大きな礎石となる重要な展覧会です。 今では日本美術界のスーパースターである伊藤若冲も、2000年に京都国立博物館で「-没後200年- 若冲」展が切っ掛けとなり、一気に名前が知れ渡ったことを思うとこの「渡辺省亭展」を見逃すわけにはいきません。省亭のプロフィールに目を通すと非常にアクティブ且つグローバルな活躍をみせた絵師であるということが分かります。大きな時代の転換期にあり、印象派の画家とも交遊し、またロンドンのギャラリーで個展が開催されるなどこれだけ海外で認められた日本人絵師も稀です。今回の展覧会の目玉として印象派の画家エドガー・ドガの旧蔵品《鳥図》(為ドガース君 省亭席画 と記されています。)がアメリカ、クラーク美術館より藝大まで海を渡りやってきています。 今回の展覧会では、省亭が江戸時代の作品も多く目にし、学んでいることが伺えます。応挙を筆頭とする円山四条派や若冲そして琳派などなど。中でもこの作品は、伊藤若冲《秋塘群雀図》を意識している感があります。画像だと全く美しさが伝わりませんので、是非会場で。雀を描いた作品に心を動かされるというアメージングな経験ができます。花鳥画の美しさだけに目が奪われがちですが、今回の展覧会では人物画や風景(瀧)などもハッとさせられる名品が並びます。監修者である藝大の古田先生が何年もかけ調査し新たに発見された作品も含まれています。 強い個性が求められる画家の世界において、万人受けする作品を描くことはとても難しいことです。何故ならそれは「特徴のない凡庸な絵」とされてしまう危険性をはらんでいるからです。結果として省亭の名は一時忘れらてしまいましたが、これから多くの人の心に安寧をもたらしていくことでしょう。

21/4/6(火)

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